ネトル~春に向けた浄化のハーブ
2026/2/16(月)

春のハーブ「ネトル」を暮らしに取り入れる
2月のワークショップでは、春のハーブとして「ネトル」を取り上げました。
春になると、花粉症や肌荒れ、だるさなど、体の不調を感じる方が増えます。植物療法ではこの季節を「春季療法(スプリング・クレンズ)」の時期と考え、冬に溜め込んだものを外へ出していくケアを大切にします。
その代表格がネトルです。
ネトルとはどんなハーブ?
ネトル(学名 *Urtica dioica* )はヨーロッパを中心に広く分布する多年草で、触るとチクッと刺さる“イラクサ”の仲間です。葉や茎には刺毛があり、ヒスタミンなどの物質が皮膚に触れることで刺激を起こしますが、古くから食用やお茶、薬草として利用されてきました。
春の若葉は栄養がとても豊富で、葉物野菜としても食べられています。スープにしてもおいしいです。(熱を加えたり、乾燥させたりすれば、刺毛も問題ありません。)
ネトルの主な成分
ネトルは「ミネラルのハーブ」と言われるほど栄養が豊富です。
* 鉄
* カルシウム
* マグネシウム
* カリウム
* ケイ素(シリカ)
* クロロフィル(葉緑素)
* フラボノイド類
このため、
・春のだるさ
・花粉症シーズンの不調
・貧血傾向
・肌や髪のコンディション
などを整える目的で用いられることが多いハーブです。
「抽出方法」で働き方が変わる
実は、ネトルは 使い方によって体に届く成分が変わります。
ここがとても面白いところです。
① ハーブティー(浸出)
お湯で抽出すると、水に溶ける成分が中心になります。
【ティーで取り出せる主なもの】
* ミネラル(鉄・カルシウム・マグネシウム)
* 水溶性ビタミン
* クロロフィルの一部
つまり、ネトルティーは
「体をゆっくり整える」使い方。
花粉症の時期に飲む方が多いのも、この穏やかな調整作用を期待してのことです。
② チンキ(アルコール抽出)
ウォッカなどアルコールで抽出すると、今度は脂溶性成分が取り出されます。
【チンキで取り出しやすいもの】
* フラボノイド類
* フィトケミカル(抗酸化成分)
チンキは少量を継続して使うことで、体の反応性を整える方向に働きます。
ティーとは違い、より「反応を調整する」使い方になります。

③ ふりかけ・料理(丸ごと摂取)
実は一番おすすめなのがこの方法です。
ネトルにはケイ素(シリカ)など、水にもアルコールにもほとんど溶けない成分があります。
これは骨・爪・髪・皮膚の材料になる栄養素です。
つまり、
* ティー → 水溶性成分
* チンキ → 脂溶性成分・水溶性成分
* 食べる → 不溶性ミネラル(ケイ素など)
になります。
ネトルを乾燥させて粉末にし、
ごまや塩と合わせて「ネトルふりかけ」にすると、無理なく毎日続けられます。
まさに“食べる植物療法”です。
グリム童話「マレーン姫」とネトル
グリム童話『マレーン姫』には、ネトルが印象的に登場します。
王女マレーンは、長いあいだ塔に閉じ込められ、食べるものもほとんどない生活を送ります。
彼女は生き延びるために、城の外に生えていたネトルを摘み、スープにして食べ続けました。
やがて塔から出たとき、やせ細っているはずの姫は不思議なほど健康で、髪や肌も衰えていませんでした。
つまりネトルは、飢えをしのぐ「雑草」ではなく、命を支える植物として描かれているのです。
ネトルはミネラルや葉緑素が豊富で、ヨーロッパでは古くから春の滋養食として食べられてきました。
童話の中でも、ネトルは“薬”ではなく“食べる栄養”として登場します。
植物療法では、ネトルを
お茶として飲むだけでなく、料理やふりかけとして取り入れる理由がここにあります。
体を整える力は、特別な薬効というより、毎日の栄養にあるからです。

春にネトルを使う意味
春は、体が「排出」に向かう季節です。
冬のあいだ溜め込んでいたものが動き始め、アレルギー症状として表れることもあります。
この時期にネトルを取り入れる目的は、
症状を抑え込むことではなく、
体の巡りを整え、穏やかに外へ出す手助けをすること。
薬の代わりというより、体質の土台を整えるハーブです。
ワークショップでお伝えしたかったこと
今回のワークショップでは、ネトルを
「お茶として飲むハーブ」だけではなく
「暮らしに入れる植物」として紹介しました。
・ティーで飲む
・チンキを作る
・ふりかけで食べる
同じ植物でも、使い方で役割が変わる。
ここに植物療法の面白さがあります。
教室に来ていただくことが目的ではなく、
それぞれの生活の中に、植物との時間が少し増えること。
ネトルが、そのきっかけになれば嬉しいです。